管理費の値上げ?高い?
所有マンションの管理費の値上げ通知がきた!?
所有マンションの管理組合から、いきなりの管理費の値上げの通知がきた!!高いか低いかの相場もわからないし、そもそも管理費の値上げってどういうこと?こんな時どうすれば良いの?を実体験に基づいて詳しく解説します。
1.管理費の値上げの通知がきた!!
所有マンションから、毎年の総会資料の中に「管理費改定の承認の件」というようなタイトルで議案が盛り込まれた書類が物件の所有者に届きます。
今回の事例では、「第18期通常総会開催のご案内」という毎年行うマンション全体の所有者から構成される管理組合主催の総会案内の中に、管理費改定の議題が第4号議案という形で通知されています。総会というのは、毎年管理組合が行うものなので今回は18回目(18年目)の総会ということになります。また、総会は管理組合が主体で行いますが、その運営や事務的な処理などはマンションの管理会社がサポートしながら行うことが多いです。
※上記赤枠に特別決議事項と記載がありますが、これはマンション所有者の4分の3の同意がないと可決されないという意味になります。総会では、マンション所有者の意見を伺うために開催されており、この総会でもし4分の3以上の同意がなされた場合に値上げが実行されることになります。
2.値上げの理由は? そもそもなんで高くなるの?
管理費値上げの理由を詳しく見ていきます。
理由の一つとして消費税の値上げがあげられますが、8%⇒10%までの2%分となると微々たるものになるので、主な理由としては点検が増えていることが理由となると思われますが、具体的にどの点検が増えたなどの記載は総会の資料には記載がないので、総会に出席した際などに所有者が管理会社へ確認する必要があります。確認した結果、そこまで点検が増えたりしていないのであれば、値上げする必要はないと思われます。
上記赤枠内に記載のある「管理費改定表」で具体的にいくら高くなるのかの記載があるので見ていきましょう。
3.いくら高くなる? 適正な金額、相場なの?
管理費値上げの理由を詳しく見ていきます。
事例として304号室の例を見ていきましょう。
(現状)管理費8,650円が1,600円の増額で、(予定)10,250円/月になると記載があります。
今回は管理費のみの値上げで、修繕積立金の値上げはないことが読み取れますが、管理費は管理会社の収益で、修繕積立金はマンション運営をしている管理組合側の収益になり、修繕積立金をもとにマンションの老朽化などの対策工事を行うことになります。ここで管理組合としては、修繕積立金が相場より低いと思われる場合は、修繕積立金の値上げについても意見を言うべきと思います。例えば、1,600円を管理費として値上げではなく1,000円分は修繕積立金の値上げにして600円だけ管理費の値上げにあてるなど、交渉・議論が必要になってくると思われます。
ちなみに、値上げの理由として消費税の増税がありましたが、増税分の2%となるとわずか173円の値上げなので、この1,600円の値上げの理由としては微々たるものになります。
4.果たして値上げされたのでしょうか。結果発表!
今回の総会は2022年2月9日に総会資料が各部屋の所有者へ送付され、賛成するかどうかを2022年2月19日までに提出し、2022年2月24日に総会が実施されて最終決定されるスケジュールでした。
結果としては、4分の3(75%)の比率までは賛成票が届かずに、60%の賛成票だったので可決されず値上げは見送られました。
おそらく来年の2月にも同じ議題が上がってくると思われます。管理費があまりにも少ないと、毎日ごみ掃除したり、点検したりする業務の質の低下や、管理会社と管理組合との関係性の悪化などにつながる場合もあるので、適正な相場の範囲で可決していく事が大切です。中には相場とかけ離れた管理費を要求してくる会社もあるので注意が必要です。
ただし、相場がどれくらいなのかなどは長い年月をかけて経験値として積み上げてきた人は判断がつきますが、マンションを購入したばかりの人が今回の総会資料だけで適正な金額かを判断するのは困難です。そのときには、管理費適正診断アプリを使うことで、わずか10秒たらずで相場を計算することができるので、是非ご活用ください。
5.結果は正しかったのか。適正額は?
当アプリを使って、上記のサンプルとしたマンションの管理費の適正度を診断してみると8,408円が推奨金額となっており、値上げする前の現状の8,650円でも相場としては十分な金額ということが客観的に判断できました。このマンションは実際に山手線徒歩5分の立地のマンションで条件としては主に下記条件で診断しています。1部屋24㎡、総戸数33戸、築年数18年、ワンルームマンションタイプの部屋の管理費の相場となります。
現状の8,650円での相場計算結果
6.もしも値上げしていたらどうなっていたの?
もしも値上げしていた場合を当アプリでシュミレーションしてみると、10,250円の管理費に対して推奨金額が8,408円なので、適正度が122%となり相場からすると20%程高い金額となってしまうことが考えられます。これが毎月積み重なるので、値上げ分1,600円/月が1年だと19,200円、3年だと57,600円、5年だと96,000円となり高額な出費になってきます。また、1度上がった管理費が値下げする事例は極端に少ないので、長期で見ると痛い出費になってきます。よって、マンション購入前や、値上げ前は十分に相場を確認しておく必要があります。
値上げ後の10,250円での相場計算結果